日语辅导热招
您的位置:外语教育网 > 日语 > 日语学习 > 日语读写译 > 正文

日语阅读:失楽園(二)

2006-06-03 00:40   我要纠错 | 打印 | 收藏 | | |

  これからはあまりあくせくせず、もっと自由に生きていこう。どう藻掻いたところで、一生は一生だ。ひとつ視点を変えると、それまで大切であったものがさほど大切でなく、逆に、それまでさほど貴重と思わなかったものが、急に貴重に思えてきた。

  部長職を解かれたあと、肩書こそ「編集委員」となっているが、実際には仕事らしい仕事はほとんどない。調査室勤務だから、各種の資料を集め、ときにそこから特集のようなものを組んで、しかるべき雑誌に提供する。それが主な仕事ではあったが、それもいつまでに、といった明確な期限があるわけでもない。

  自由だが暇なポストに身をおいて、久木ははじめて、これまで自分が本当に心の底から人を恋し、愛したことがなかったことに気がついた。

  むろん、これまでも妻をはじめ、他の女性に好意を抱き、秘かに浮気をしたこともあったが、常に中途半端で燃えきったという実感がない。

  このままでは、人生で大事なことをやり残したことになる。

  松原凛子が久木の前に現れたのは、まさしくそんなときだった。

  恋の出会いはいつも偶然であるように、久木が凛子に逢ったのも、まさしく偶然の機会からだった。

  調査室に廻って三ヵ月経った去年の末、新聞社のカルチャーセンターに勤めている衣川という友人から、講演をしてくれないかという依頼があった。内容は「文章の書き方」という講座で、三十人近い受講生がいるが、そこで文章について話をして欲しいということだった。

  久木はとくに実作者でもなく、ただ出版社にいて本をつくってきただけなので、そんな話はできないと断ったが、衣川は、あまり大袈裟に考えず、これまでいろいろな人の文章を読んで本にしてきた経験を語ってくれるだけでいいという。さらに、衣川に「いま、暇なのだろう」といわれて久木は気持ちが動いた。

  衣川が声をかけてくれたのは、ただ講演を依頼したいためでなく、閑職に廻された久木を、少し勇気づけてやりたいという気持からのようである。

  もともと衣川とは大学時代に同期で、ともに文学部を卒業してから衣川は新聞社、久木は出版社と勤め先は別れたが、ときどき会って酒をくみ交わすあいだがらだった。六年前、突如、都内のカルチャーセンターに出向することになった。その異動が衣川にとって好ましいことなのか否か、よくわからなかったが、「俺もいよいよ出るよ」といっていたところをみると、やはりまだ本社のほうに未練があったのかもしれない。いずれにせよ、ラインを外れたという意味では衣川のほうが先輩で、それだけに久木のことを気遣って、声をかけてくれたようである。

  そう気づいて、久木は素直に彼の依頼を受け入れ、決められた日の夜にカルチャーセンターに出かけて行った。そこで一時間半ほど講演をしたあと衣川と食事をしたが、そこに一人、女性が同席した。衣川は同じセンターで、書道の講師をしている人だと紹介してくれたが、それがまさしく凛子であった。

  あのときもし衣川の誘いに応じなかったら、そして彼が凛子を食事に連れてこなかったら、二人の出会いも、いまのただならぬ関係も生まれなかったことになる。

  凛子との出会いを思うとき、久木はきまって恋の不思議さというか、宿命的なものを感じてしまう。

  衣川に紹介されて凛子と会った瞬間から、久木はあるときめきに似た心の高ぶりを覚えた。

  正直いって、久木はこれまでも、妻以外の女性と関わりがなかったわけではない。若いときはもちろん、中年になってからも際き合っていた女性はいた。そのなかの一人は、久木のヌーボーとしたところがいいといったし、もう一人は、年齢に似合わぬ少年っぽさに惹かれた、といってくれた。久木は自分が別に茫洋としているとも、少年っぽいと思ったこともない。それだけに妙な褒められかただと思ったが、あとで自分の女性への接し方には、そんなところがあるような気もしてきた。

  それにしても、凛子との近付きかたは、少年っぽいというのか、自分でも戸惑うほどの一途さであった。

  まず衣川の紹介で一度会っただけなのに、その一週間後には、貰った名刺を頼りに自分のほうから電話をかけていた。

  これまでも、女性に関心がなかったわけではないが、これほど積極的に出たのは初めてである。久木は自分で自分に呆きれながら、走り出した思いは止まらない。

  それから毎日のように電話をして逢瀬を重ね、二人がたしかに結ばれたのは今年の春だった。

  初めの予感どおり、凛子は魅力的な女性であったが、久木はそのあと改めて、彼女のどこに惹かれたのか考えてみた。

  顔はことさらに美人というわけではないが、細っそりとして愛くるしく、やや小柄で均整のとれた体を、人妻らしいシックで落ち着いたスーツでつつんでいる。年齢は三十七歳で、歳より若く見えたが、それよりも久木が惹かれたのは、凛子が書道のたしなみがあり、なかでも楷書が得意で、短期間だがそれだけを教えにきていたことである。

  初めて逢ったときから、凛子はまさしく楷書のような折り目の正しさと、気品を備えていた。

  そんな凛子が徐々に優しさと親しさを見せながら、ある日、体を許し、そのあと着実に崩れ、乱れていく。

  その崩壊の過程が、男の久木にはたまらなく愛しく、艶である。

  情事のあとの二人は肌と肌とが触れているだけに、お互いの動きが即座に相手に伝わる。

  いまも、久木がカーテンのかかっている窓の方へ首を向けた途端、凛子の左手が怯えたように胸元にしがみつく。久木がその手を軽く抑えてサイドテーブルの時計を見ると、六時十分だった。

  「そろそろ、陽が沈むかもしれない」

  部屋の床まで広がった窓からは七里が浜の海と江の島が見え、その先に夕陽が落ちていくはずである。昨日、二人が着いたときは、まさに陽の落ちる寸前で、江の島へ渡る大橋のたもとの丘陵に、赤く燃えた太陽が沈みかけていた。

  「見て、みようか」

  凛子にいいながら、久木はベッドから身を起こし、床に落ちていたガウンを着てカーテンを開ける。

  瞬間、目の眩むほどの斜光が部屋のなかに流れこみ、床からベッドの端までを照らし出す。

  「間にあった……」

  夕陽はいま、江の島と対する丘の上にあり、大空の下半分を朱に染めながら、ゆっくりと落ちていく。

  「きてごらん」

  「ここからでも、見えるわ」

  裸のままの凛子は突然の明るさに戸惑ったのか、シーツで全身をおおったまま、躯だけを窓のほうへ向ける。

  「昨日より、赤くて大きい」

  カーテンを一杯に開くと、久木はベッドに戻り、凛子と並んで横たわる。

  夏が終ったばかりのいまは、まだ熱気をはらんだ靄が宙に漂い、落日はその靄をとりこんで膨らんで見えるが、下円の一部が丘にさしかかった途端、急速に萎み、血のかたまりのような真紅の玉に変貌する。

  「こんな夕陽を見るのは、初めてだわ」

  久木はそれをききながら、いま少し前、凛子が、子宮が太陽のようになった、という言葉を思い出す。

  いま、夕空に消えていく落日のように、凛子の燃えた躯も鎮まりつつあるのだろうか。

  久木は想像しながら、凛子のうしろから寄り添い、片手を女の下腹部に這わせる。

  真紅の光芒を残して夕陽が丘の彼方に消えると、待ちかまえていたように空は紫色に変り、宵闇があたりをおおう。一度陽が沈むと夜の訪れは急に早まり、それまで黄金色に輝いていた海はたちまち墨色に塗りこまれ、彼方の江の島の輪郭が海ぎわの明りとともに浮き出てくる。

[1][2]

  上一篇:  日语阅读:愛と死

  下一篇:  日语阅读:失楽園(一)

相关资讯:
网站导航:
 四六级 指南 动态 经验 试题 资料  托福 指南 动态 经验 留学 备考
 雅思 指南 动态 机经 经验 辅导  公共英语 指南 动态 备考 试题 辅导
 日语 就业 辅导 留学 考试 报考  法语 资料 文化 考试 留学 辅导
 韩语 入门 口语 阅读 留学 文化  西语 辅导 资料 考试 留学 风采
日语0-N2 级直通车 系统讲解考点,轻松应对考试
课时数:20课时
日本语能力测试N1 解读命题特点,稳步提升能力
课时数:20课时
日本语能力测试N2 解题命题精髓,成功征服考试
课时数:15课时
日本语能力测试N3 揭秘答题技巧,直达高分成绩
课时数:15课时
日本语能力测试N4 剖析做题技巧,全面提升能力
课时数:6课时
日本语能力测试N5 提炼考试精华,逐步精通日语
课时数:3课时

外语教育网(www.for68.com)是北京东大正保科技有限公司(CDEL)旗下一家大型外语远程教育网站,正保科技成立于2005年7月,是国内超大型外语远程教育基地,上榜“北京优质教育资源榜”--“百万读者推崇的网络教育机构”。


公司凭借雄厚的师资力量、先进的网络视频多媒体课件技术、严谨细致的教学作风、灵活多样的教学方式,为学员提供完整、优化的外语课程,既打破了传统面授的诸多限制,发挥了网络教育的优势,也兼顾面授的答疑与互动特点,为我国培养了大量优秀的外语人才。


为了满足学员学习不同语种、不同阶段的学习需求,网站开设了包括考试英语、行业英语、实用口语以及小语种在内的百余门语言学习课程,涵盖英语、日语、韩语、俄语、德语、法语、西班牙语、意大利语、阿拉伯语等主要语种,供学员自由选择。此外,网站还拥有各类外语专业信息和考试信息20余万条,是广大学员了解外语类考试最新政策、动态及参加各语种培训的优质网站。


北京东大正保科技有限公司成立于2000年,是一家具备网络教育资质、经教育部批准开展远程教育的专业公司,为北京市高新技术企业、中国十大教育集团、联合国教科文组织技术与职业教育培训在中国的唯一试点项目。


公司下属13家行业远程教育网站,业务涵盖了会计、法律、医学、建设、自考、成考、考研、中小学、外语、信息技术、汉语言教学等诸多领域,拥有办公面积8000多平米,员工近千人,公司年招生规模达270万人。由于正保远程教育(China Distance Education Holdings Ltd., CDEL)在中国互联网远程教育行业内的绝对优势和强大影响力,正保教育模式一直被广大投资人所追捧。2008年7月30日,公司在美国纽约证券交易所正式挂牌上市(股票交易代码:DL),是2008年唯一一家在美国纽交所上市的专业从事互联网远程教育的中国企业。


版权声明
   1、凡本网注明 “来源:外语教育网”的所有作品,版权均属外语教育网所有,未经本网授权不得转载、链接、转贴或以其他方式使用;已经本网授权的,应在授权范围内使用,且必须注明“来源:外语教育网”。违反上述声明者,本网将追究其法律责任。
  2、本网部分资料为网上搜集转载,均尽力标明作者和出处。对于本网刊载作品涉及版权等问题的,请作者与本网站联系,本网站核实确认后会尽快予以处理。
  本网转载之作品,并不意味着认同该作品的观点或真实性。如其他媒体、网站或个人转载使用,请与著作权人联系,并自负法律责任。
  3、本网站欢迎积极投稿
  4、联系方式:
编辑信箱:for68@chinaacc.com
电话:010-82319999-2371