君をみていくとせかへしかくてまた桐の花さく日とはなりける
君とふとかよひなれにしあけくれをいくたびふみし落椿ぞも
広重のふるき版画のてざはりもわすれがたかり君とみればか
いつとなくいとけなき日のかなしみをわれにおしへし桐の花はも
病室のまどにかひたる紅き鳥しきりになきて君おもはする
夕さればあたごホテルも灯ともしぬわがかなしみをめざまさむとて
草いろの帷(とばり)のかげに灯ともしてなみだする子よ何をおもへる
くすり香もつめたくしむは病室の窓にさきたる※(「さんずい+自」、第3水準1-86-66)芙藍(サフラン)の花
青チヨオク ADIEU と壁にかきすてゝ出でゆきし子のゆくゑしらずも
その日さりて消息もなくなりにたる風騒(ふうそう)の子をとがめたまひそ
いととほき花桐の香のそことなくおとづれくるをいかにせましや